映画「タイム」の感想

最近やっていて面白そうな映画なので、見に行きました。

ざっくばらんに説明しますと、時間が通貨になってしまった世界に生きる主人公(男)の物語です。その世界ではお金=時間がなくなってしまうと、人も亡くなってしまう、というものです。

非モテの男性弱者目線で作られているような作品で、銀行強盗(押収されてしまった時間の再配分) などのマッチョなモチーフが出てきますが、大きくみると普通の工場労働者の若者がだんだんと成長して行き、世界を変えようとする物語です。面白いといえば面白かったです。いろいろ作り込みもされていましたし、大掛かりな世界観を作ることに関してはさすがにハリウッド映画だと思いました。

25才になると、人間の成長が止まる世界というのは、アンチエイジング(老化防止)の観点からみると、確かに魅力的かもなあ、と思いましたけど、それを維持し続けるためにはお金=時間を稼がなくてはいけないし、億万長者や公務員はほぼ無制限に生きられる世界でもあります。(ただ公務員は勤勉に働かせるために一日分の時間しかないものもいたり)

時は金なりと言いますが、その時がなくなってしまうと、すぐ心臓マヒで死んでしまうこの映画の世界は怖いなあと思いつつ、だんだんそうなって行くようで、現実の世界も怖いなあと思う(笑)

話のシノプシス的には巌窟王とか、古典的作品の影響を感じるような作品でした。自分の出生の秘密、年長の老人(見かけは25才)の導き、母親の元を離れて、恋人を獲得するというそれぞれの小さなモチーフには、物語のお約束は保たれていました。

非人間的なSFの世界観(実際、ディストピアですし) を描き出すのにも、古典的なお話の作り方をするのは面白いなあと思いましたが、そういうところにやや限界も感じてしまいました。男目線は相変わらずですし、僕は男だけど、今更そういう世界観には引っかからないよ。お話的には一種の成長物語になっていて、映画館にはカップルで見にきた人もいるけど、恋愛はどちらかというとサイドストーリーなので、その方面のおすすめはあまりできないかと思う。