緊急の夜想語りに行って来たよ。

(mixiに書いたやつを転載。)


あんまり正確ではないが、夜想という雑誌もしくはグループがあって、そこが持っている画廊にて、緊急に渋谷西武百貨店のシブカル展の中止の是非を問う、イベントがあった。ネットをみてみると、このシブカル展中止のいきさつには、都条例が関わっているらしいということだった。それで行ってみたのだった。

HP http://www.yaso-peyotl.com/

JR浅草橋駅から歩いて十分くらいのところ、十分という距離は長くも短くもないが、やや遠い印象を受けた。また浅草橋自体が、飲み屋などが密集している地域であり、少し特殊な印象を受ける。昔からの場所の悪さを引きずっているような感じだ。もっとも今ではサラリーマンが多いが。

建物は僕が確認できたのが、1、2階であり、2階はショップ、一階は画廊スペースみたいになっている。今回はその画廊で話が行われたようだ。とはいってもだいたい取っ払われて、椅子と演壇みたいなものしかなかったが。

一部は浅井さんという人と、今野さんという夜想創立者とで対談があった。浅井さんはアート関係の会社を経営していて、そのせいか西武百貨店擁護で、一枚岩でもない様子。確かに作家さんの作品に値段をつけたり、きちんとお金を支払ったりするためには、取引先である西武の悪口は言えなかったのだろう。そこはあとで今野さんはフォローしていた。取り合えず、実をとる浅井側と作家がかわいそうだ、という今野側とで意見の一致は見られなかった。

浅井さんが所用で退出後、ササタニーチェという映像作家とMCの女性(名前は分からなかった)が対談する。ササタは全国の秘宝館を取材したり、バイブ、蝋人形などの取材を行って、ヴィレッジバンガードで売っていたが、最近になってヴィレッジバンガードがエログロの商品を扱わなくなったそうで、ササタのDVDも販売できなくなってしまう。その事について、2人で話し合っていた。まとめると、わいせつなものといっても、人それぞれ感じ方が違うし、欲情するものも様々あって、一概に言えないのにどうして、一律に規制しようとするのか、というものだった。その話ででてきたのが、エッフェル塔と結婚した女性の話だ。エッフェル塔が好きで、セクシーさを感じたみたいだった。僕が多言を要するまでもなく、何がエッチかを決める基準はないし、また何にエッチなものを感じるかは,場合によって大きく異なることがあることは明らかだ。ササタが作ったDVDにしても、性についてのものであって、性そのものではない。非常にグレーゾーンなのに自主規制の対象になることに当惑を隠せなかったようだ。なお全国的に秘宝館は六箇所から四箇所に激減したり、わいせつ罪で検挙されてもいるようだ。最近の風潮には恐ろしいものがある。

そして、次の三部目では、今野さんとMCとで昔の西武百貨店はどうだったのか、という話で占められていた。今は文化事業から撤退してしまったらしいが、昔のバブル時代では西武の文化事業はセゾン系とも言われ、(これは西武の軽井沢にあったセゾン美術館にたぶん由来する)多くの人の語り草にもなっている。最近、永江朗はこれについて本を出した。まとめてしまうと、昔はかなりの金額を出した西武だったね、という話と、今野さんの経歴が垣間見れて良かったと言えば、良かったが、生産的ではなかった。おそらくバブルの時代のような、アーティスト、評論家などに心地の良かった時代は過去になりつつあり、もはや二度と来ないかもしれない、と思っただけだった。村上隆とかは現代アートにはたくさんのお金が流れている、と言うかもだけどね。ただ、それが一時期の西武が目指しているものとはかけ離れてはいないだろうか。村上隆の動向が生産的かどうかは僕には判断できない。

四部目は今回の一日しか開催されなかった、シブカル展に作品を出品したアーティスト2人が話をした。そのうちの1人は美少女さんという球体関節人形を作っている男性作家さんだ。(もう1人の女性作家さんの名前は覚えていない)結局のところ、この2人にしても直接には何も知らないに等しくて、具体的には何が問題かが分からなかったようだ。また、だったら中止になった展示をまるごとどこかでやればいいのに、そういう動きもないらしい。最近の作家さんは大人しいみたいだった。だいたいその他の作家さんはでて来れないし。いろいろ事情はあるかもだけど、都条例がより広範な影響力を持っていたような事例であり、もっと抗議するべきではなかったかと思う。この中止には都条例の存在があったことは何度か言及されていたけれど、それは都条例がでて来たことによって、社会の規範意識が変化している、と西武側の担当者なりテナントの画廊経営者は言ったらしい。一部の人の思惑が社会の変化として捉えられてしまった形になっている。

以上をまとめると、社会的な動きとして、エログロを取り締まろうとする、動きがで始めており、それについては危機感を感じているみたいだった。だが、やっかいなことに取り締まりたい側の人間は、その取り締まる物について十分な理解をしてない場合が多い。ただ取り締まる者の論理が強く働くのである。美少女さんの言葉の端には、なぜ中止に追いやられたのかわからないという、不満の色が隠せなかった。マンガもこうなると非常に嫌だなあ。

最近は右翼っぽい大学教授も多く、北大とか、慶応とかに有名人がいたりする。右翼って基本は歴史を恣意的に解釈しているだけだと思うけど、この風潮には怖い物がある。僕は右翼的な規範意識が原因だと思いますけど、どうでしょうか。