マンガの電子書籍。


本日、AIRtwoという電子書籍がAPPストアにて発売された。今のところ、先行版は350 円で、しばらく経つと600円になるようだ。先行版を買うと、無料で600円の内容にアップデートされるという。http://hon.jp/news/1.0/0/2111/

僕も試しに買ってみた。前回のAIRは業界誌にも紹介されたので、多くの人が知っているだろう。前回のAIRはまだみてないが、全体的に今回は赤松健桜坂洋との対談が載っており、魅力的な内容になっている。また前回に引き続いて、モーニング系で連載されている、「クレムリン」を書いたマンガ家、カレー沢薫の結婚報告があった。このまま彼女も中村うさぎのようなコラムニストになるのだろうか。また、吉田戦車のエッセイとイラストも注目される。マンガ家だけあって、非常にイラストがうまい。いずれにせよ、前回よりもパワーアップしているものと思われる。もう少し読んでから、詳しいことを書いてみたい。

しかし、どうやらAIRには本格的なマンガが載っていないことが、僕の立場からは残念である。そもそもマンガや同人誌はどのように電子書籍として流通されているのだろうか。一般的に言って、iPad向けに提供されているマンガはあまり豊富とは言えない。マンガを読むためにiPadを買ってみた僕には少し、残念だ。

だが、その状況の中でもマンガの電子出版を巡って面白い本がある。「サルにもできるiPhone同人誌の創り方」である。マンガ家、イラストレーターの安倍吉俊さんとIT技術者のカワサキタケシさんという2人組が書いた本だ。安部さんは長いことコミケでは大手のサークルを主催されている方で、その経験が生かされている。

失礼なようだが、まずマンガやイラストを描いていたりする人は、あまり文字情報には明るくないかもしれないし、苦手意識を持っているかもしれない。そういう人にも理解できるように、文字が大きく見やすいし、難しい話は出て来ない。安倍さんのイラストも何枚も収録されている。この本の付録のDVDとMacがあれば、誰でもAPPストアで同人誌を売ることができるらしい。僕は残念ながら、Macマシンがないので、試して見ることができないが、信用してみる価値は大きいと思う。安部さんによると、紙ベースの同人誌が電子化されると、25万冊の電子書籍が登場することになる。これは今現在の、iPadアプリと同じくらいだ。この衝撃は計り知れないものがある。

では、同人誌を電子書籍として売り出すメリットはあるのか。一応あると思う、なぜなら、初期投資を除けば、基本タダで同人誌を出版できるからだ。つまり印刷所を通す必要がないので、印刷費がかからない。かさばらないから置く場所にも困らない。いいことづくめである。

しかしデメリットもある。それはそこまで高額にできない、というデメリットだ。安倍さん本人も同人誌を売り出しているが、確か350 円ほどだったと思う。そのうち自分の手元に残るのは、70パーセント。この場合、245 円ほど。残りは元締めのAppleに行く。これを安いと見るか、高いと見るか。そもそもiPadはまだ国内には広がっていないこともあり、販売数は大したことはないかもしれないが、おそらくiPhoneと連動してだと思うが、3000部を安部さんは売ったそうだ。さしずめ利益は73万5000 円。これはjコミに載った新條まゆさんの「放課後ウエディング」の52万5000円を大きく引き離している。これはすごいことだ。

jコミは赤松健さんの会社が運営しているサイトであり、この構想が発表された時にはmixiなどでは大きな騒ぎになった。もちろん、このサイトにはマンガ家しか載せることができない。それに対して、電子出版の同人誌では誰にでもマンガ家と同じくらいか、それ以上の原稿料を獲得できる可能性がある。これはすごいことではないだろうか。私もまだこの可能性を頭から信じることはできないが、試せる人は試してみる価値があると思う。

もちろん、安倍吉俊さんは大人気のイラストレーターであり、キャリアも豊富だ。安倍さんと比べてしまうと、どんな人でも見劣りがするのは仕方がないとしても、根気良く続けることができれば、あなたも第二の安倍吉俊になれるかもしれない。(けっこう無責任ですね笑。)


そういえば、「クレムリン」の二巻目が発売されたみたいです。あの本は一巻目の装丁が素晴らしかったので、また期待しております。さっそく、チェックしに行こうっと。