南米の悪夢から日本の現状へ。

 さいきん、「国家テロリズムと市民」という本を見ているのですが、これはアルゼンチンの戦後の政治について書かれた本ですけど、知らない事ばかりで興味深いです。

 読み終わったらレビューしてみたいです。

 日本は戦後、軍事的な面は停滞しており、これが民需中心で経済発展した理由でもありまして、とてもよかったのですが、最近その路線を否定しているように見えて痛々しいです。

 日本はこれからよくなるのでしょうか、もしかしたら悪くなるかもしれない。そのときになっていろいろとあれこれ考えるのは良くないので、その悪くなった時のために南米について考えるのは無駄ではないと思います。

 南米で戦後行われたのはある意味悪夢的なことだったようです。

 ペルーにおいて、政府軍と住民の虐殺を競いあったという、センデロ・ルミノソのような存在は覚えておいた方がいいでしょう。(またおそらく入門的なものとして大串和雄による文章が公開されています、大串氏の文章をみてみるとペルーがまさしく内戦状態に陥っていた事がわかるのではないかと思います。→ http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/7652/2/ogushi_world.pdf ) 

 センデロ・ルミノソコロンビア革命軍などの左派武装勢力が、虐殺を行っているという事であるのならば、この意味では、いかに左翼や中道左派が躍進しているというニュースを聞いても、左翼の一人勝ち、という事はないと思います。民主化に向けての動きもありますが、これまで内戦に近い状態だったので、責任問題を含めてようやくとっかかりができ始めてきた状況のようです。

 大串さんはこの問題について、つまり民主主義を維持する手段として選挙する事の大事さということを別の文章の中で指摘しています。
 
 


 しかしアメリカの協力の下に強力に補強された軍部やそれに対抗している民兵を相手にする事は、僕は難しかっただろうと思います。冒頭にあげた「国家テロリズムと市民」の中にも広場に出て、行方不明の子どもたちや青年たちを返せという非暴力運動があり、NGOや人権団体が活動について記述されていましたが、この運動はいまでもされているようです。参照→http://www.47news.jp/47topics/ningenmoyou/148.html (育ての親が実は生みの親を殺した側の人間だったという事が判明したりとか・・しかし飛行機から落として処刑したのは酷いと思います。)

 結局のところ、軍部が力を増すと、それに対抗するのが難しくなります。民主化運動は妨害され、危害を加えられる事も稀ではないでしょう。そうなってしまったら、たとえ政府への非暴力運動でも、犠牲はつきものである事は、「独裁体制から民主主義へ」の著者のシャープさんも指摘する事でした。

 日本はまだこれほどの状況にはほど遠いのですが、なんとか自衛隊が軍隊になることはやめていただきたいと思います。最悪の状態になってしまうと、民主主義を立て直すのは難しいですし。

他にもこういう文献もあるみたいです→ 

 「センデロ・ルミノソ―ペルーの「輝ける道」 カルロス・I. デグレゴリ、Carlos Ivan Degregori著、太田 昌国(翻訳)、 三浦 清隆(翻訳)」 (現代企画室 - 1993/6) 
 
 「軍と革命―ペルー軍事政権の研究 」 (大串 和雄 著 東京大学出版会 1993年)